風の香が記憶の筐を開ける。

心身をほぐす湯にすべてを委ねれば、
日々の雑念は湯煙の中に溶け出していく。
露天に溢れる野趣の芳醇。
深き緑に運ばれてきた潮の香が忍び入るのを捉えた時、
自分の五感が真に目を覚ましたことを知る。
眉間の奥をくすぐる匂い。
それは記憶の抽き出しに仕舞われていた光景を呼び覚ます。
誰にも知られず、
しばし内なる旅へと出てみましょう。